YAIZU ZEMPACHI LETTER
料理家、フードスタイリストとして活躍しているtotto(黄川田としえ)さん。雑誌や広告で提案している家庭的な料理はもちろんのこと、明るい色づかいが特徴的なスタイリングにもファンが多く、日々の食卓が気になる人の1人です。
また、高校生の息子と中学生の娘について綴られる日常の様子は、いつも明るく楽しげ。仲良し家族の風景は、みんなの憧れでもあります。
tottoさんのアトリエにうかがって、育児や家族のこと、日々の料理について、お話をうかがいました。
「今日は、やいづ善八の商品をフル活用して、ランチを用意したんです」
とtottoさん。鮮やかなブルーのテーブルクロスの上には、春らしい野菜たっぷりのおかずがぎっしりと並べられていました。
「「香る鰹だし醤油」と「深み鰹白だし」を活用したから、すごく楽ちんでした。品数は多いけれど、どれも本当に簡単なんです。とにかく簡単でおいしいから、毎日使っていたら、もうだいぶ少なくなっちゃった(笑)」
テーブルの中央で目を引くのは、稲荷寿司を並べた竹かご。1つずつに菜の花が飾られていて、とても華やかです。
「お稲荷さんは子どもたちも好物で、季節の野菜を合わせてよく作るんです。今日は、菜の花をさっとゆでたものを使ったのがポイント。茎と葉の部分は細かく刻んで炒めてから、「香る鰹だし醤油」を鍋肌に加えて焦がし醤油風味に。それをごはんに混ぜて、お揚げに詰めました。花の部分は「深み鰹白だし」で和えてから、飾りにのせるだけ。お揚げは、「やきつべのだし」と醤油、酒、みりんで煮ました」
紫米を少し加えて炊いたごはんと、菜の花の黄色が鮮やかで、tottoさんらしさを感じるひと品。
「でも私、エディブルフラワーでおしゃれに、ということは特にしていなくて、花も野菜として使っています。友人でもあるwarmer warmerという八百屋さんから在来種や古来種の野菜を取り寄せると、たまにカブや大根の花が入っているんですよ。ちなみにこのサラダにのせたのは、大根の花なんです」
ケールや水菜のサラダの上にのせられた淡い紫色の花は、食べてみると確かに大根の風味!
「warmerwarmer(http://warmerwarmer.net/)では旬の野菜しか販売していないから、冬は大根が多く登場します。あるとき、保存しきれない分は庭に埋めておくといいよ、と言われてやってみたら、葉の部分がすくすくと伸びて花が咲いたんです。もう多分、大根としては食べられないけれど、毎日のように花を摘んで食べています」
このサラダが絶品! 葉野菜がモリモリ食べられるおいしさです。
「ドレッシングは、「深み鰹白だし」とごま油を2:1くらいの割合で混ぜただけ。鰹だしの風味とチーズが合うので、パルミジャーノ・レッジァーノを削りかけました」
ほかのおかずも、旬の野菜がたっぷり使われています。
「筍も、今の時期だけの楽しみですよね。今日はごま油で焼き付けてから、たたいた梅肉を「香る鰹だし醤油」とみりん少々でのばしたものを加えて、照り焼きっぽい味付けに。食べる前に「さくさく鰹ふりかけ」をかけるとおいしいんですよ〜」
甘酸っぱい筍に、ふりかけの食感がアクセントになって、これまた箸が止まりません。
「こちらは砂糖ざやという野菜をニンニクと炒めて塩を振り、仕上げに「香る鰹だし醤油」を鍋肌に加えて、粉花椒を少し振りました」
にんにくと焦がし醤油の風味が、食欲をそそります。さらには揚げものまで登場!
「本当に、「深み鰹白だし」と「香る鰹だし醤油」があると、手間がかからないからラクなんです(笑)。料理は仕事でもあるけれど、なるべく手間がかからないようにということも意識しています。例えば春巻きは巻くだけで手間だから、中身の調理はなるべく避けたい。これは、生のうどと生ハムを巻いて揚げました。生ハムに塩けがあるから味付けも不要だけど、食べるときに好みで「香る鰹だし醤油」をつけてもいいかも」
大豆と鶏手羽肉の煮込みは、totto家の定番だとか。
「子どもたちが育ち盛りで、特に娘がテニスをプロを目指してやっていることもあり、良質なタンパク質を多く摂るように心がけています。だから豆類は頻繁に登場。豆って戻すのはひと手間だけど、たくさんゆでておけば冷凍できるので便利ですよ。うちは、お味噌汁に入れたりサラダに入れたりと、すぐに食べ切ってしまうので冷凍する間もありませんが(笑)。これは麹要らずと名づけられているくらい甘い種類の大豆。鶏手羽肉を黒酢と香る鰹だし醤油、酒、みりんと煮込んで、大豆と煮絡めました」
さらに、ゴーヤとレンコンを干しエビと炒め合わせ、「香る鰹だし醤油」とみりんで調味した小鉢や、春キャベツのお味噌汁も。
「キャベツは煮ると甘いうま味が出るから、「やきつべのだし」との相乗効果で深い味になります。野菜自体のだしも利用して」
レシピを考えるときは、まず素材の味を見てから、どのように手を加えたらおいしさを引き出せるのかを考えるのだそう。
「やいづ善八の商品も、最初に味見をしてみたら、風味がしっかりしているなと感じました。なににかけてもおいしいし、とにかく時短になるので、日々助かっています」
tottoさんの料理を食べてみて感じたのは、きっと夫や子どもたちにも喜ばれるだろうと思える味わい。
「世の中にはいろんなタイプの料理家さんがいるけれど、私に依頼されるのは、"日常的に作りやすく、家族に馴染みがよい味付けで、だけど昔ながらのおかずよりもちょっとだけ新鮮でおしゃれな料理"なんです。だから、珍しい食材や調味料は使わないし、手の込んだこともあまりしない。ちょっとした食材の組み合わせや盛り付けでおしゃれに見せることが多いですね」
tottoさんが大事にしているのは、なによりも家族の健康。
「やっぱり栄養バランスは気になります。私の料理は、家族のために作るものだから。みんなが健康でいてくれて、おいしいって喜んでくれるものを、いつも作りたいと思っています」
取材・文/藤井志織
料理家/フードスタイリスト/「tottorante」主催。雑誌や広告でのレシピ制作のほか、イベントへのフード出店やケータリング、子どものための食ワークショップも全国各地で開催。
ホームページは、https://toshiekikawada.com/
インスタグラムのアカウントは、@tottokikawada