• だしと私 2024.07.17

vol.53 ミナ ペルホネン プレス 岡部祥子さん

忙しく働くプレスがほっとする、いつもの和風ごはん

織りやプリント、刺繍など、手の込んだオリジナルテキスタイルや、ポエティックなデザインが人気のブランド〈ミナ ペルホネン〉のプレスとして活躍する岡部祥子さん。プライベートでは2人の女の子のお母さんとして、「怒涛の日々」を送る岡部さんに、だしとの付き合い方や仕事への想いをうかがいました。

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岡部さんが〈ミナ ペルホネン〉のメンバーとなったのは2011年のこと。学生の頃からブランドの存在は知っていて、課題の合間の息抜きにショップやオフィシャルサイトを見るのが楽しみだったとか。
「当時の私にとっては簡単に買えるものではなかったけれど、素敵な洋服が目の保養だったんです。当時からファッションだけでなく、アートやインテリアなども手がけていて、ほかにないブランドだなと感じていました」
サイトを頻繁に眺めているうちにプレスの募集を発見してチャレンジし、見事に合格。
「入社した当時はまだメンバーが少なかった分、すべてのプロジェクトにみんなが携わっていました。初めてのことの連続で大変でしたが、デザイナーの皆川(ブランドの創設者である皆川 明さん)と密に関わることも多く、あの日々が今の糧になっていると感じます」
それから13年が経った今でも、皆川さんや、現CEOである田中景子さんからは、学ぶことがたくさんあると言う岡部さん。
「皆川はとにかくお客さまの喜びを第一に考えていて、遙か先のことを見据えながらデザインに向かっています。そして田中はデザインをしながら社員を育て、仲間として守り、"ミナ"の想いを繋げていくという強い意志を持って働いています。子を育てながら仕事をするスタッフへの理解があり、働きやすい環境をつくろうとしていることもありがたくて。私は入社当時より成長したとはいえ、今でも2人に指摘されることには納得しかなく、尊敬の念が常にあります」

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なんといってもオリジナルテキスタイルが魅力のブランドというだけあって、生地を担うチームの姿勢にも刺激を受けるし、鍋や食器、家具、アウトドアブランドなどさまざまな企業とのコラボレーションなどにもやりがいを感じているとか。
「国内外での美術館やギャラリーでの展覧会も多く、新たにブランドを知っていただける機会になるのもうれしくて。9月には韓国で大規模な展覧会の開催も予定しています」
情熱を抱いて仕事に邁進しながらも、家庭に帰れば8歳と4歳の娘さんがお腹をすかせて待っています。
「家に近づくにつれて気持ちは休息へと向かっていくんですが、一方で今日のごはんはどうしようと考えなくちゃいけない。家族4人分の食事を毎日作るのは、当たり前のことだけどけっこうハードですよね。なので、いろいろ考えなくても作れるようなメニューを作ることが多いんです」
その日の献立は、家にある材料からできる料理をネットで検索して決めることが多いそう。
「毎日欠かさずに作っているのはお味噌汁。愛知出身で味噌が身近だったからか、洋食メニューだったとしてもスープではなくお味噌汁を添えています。お豆腐とわかめ、大根や玉ねぎなど一般的なものですが、娘たちも大好きで。お味噌汁とご飯がないと物足りないんですよね」

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これまでは市販のだしパックを使ったり、いりこでだしをとったりしてきました。
「やいづ善八のやきつべのだしを初めて使ったときは、奥ゆかしい旨みを感じました。娘たちも『いつもと違うね』と言うし、ほかのものとはまったく違う味わいで、すぐに使い切ってしまったんです。個人的には荒節のほうがコクがあって好みですね」
だしを使って作る定番メニューもいくつか教えていただきました。
「自分が食べたいものを作るので、和食が多くなりがち(笑)。最近は和風のラタトゥイユをよく作ります。根菜と鶏肉とトマト缶を煮込むときに和のだしを使うだけ。しゃぶしゃぶ用の豚肉をゆでて、さっと火を通した玉ねぎと長ねぎ、香味野菜と合わせたものを深み鰹白だしで和えるのも大好きです。これはさっぱりしたものが食べたいなと思っていたときに、やいづ善八のサイトを見て、『楠さん家の豚しゃぶの白だし香味だれ』を参考に作りました」

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家族には別のおかずを作りつつ、ご自身はつゆプレッソとだし醤油で麺つゆを作り、1人そばを楽しむこともあるとか。
「シンプルな料理が多いのは、料理の腕には自信がないせいもありますが、娘たちに素材の味を覚えてもらいたいから。家族にはできるだけ素材がいいものを食べてもらいたいという想いがあります」
最後にご紹介するのは、岡部さんが趣味で作り続けている切り絵作品。

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「次女はコロナ禍での出産で、長女と外に遊びに行く機会も少なく、一緒に遊ぶために考えました。着せ替え人形のようなものなので、娘と私は"お人形"と呼んでいます。もともと絵を描いていたのですが、子どもたちが小さいときは道具を出すのも大変で、色画用紙とハサミ、色鉛筆、糊だけでできる切り絵を作り始めました」
後ろ姿まで抜かりなく仕上げた完成度はため息が出るほどの素晴らしさ。保育園時代の娘さんによる作品もさすがの仕上がり! 


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「今は、スタイリストの友人である荻野玲子さんが営むヴィンテージショップのアイテムを身につけている女の子をテーマにした、that girl(あのこ)というプロジェクトを続けています。販売するわけでもないんですが、自分とは違う服装や髪型を切り絵で表現して、ファッション欲を満たしているのかも(笑)」

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取材・文/藤井志織

プロフィール


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岡部祥子
大学院で美術を学んだ後、グラフィックデザインの講師の助手の経験を経て〈ミナ ペルホネン〉に入社し、プレスとして活動。プライベートでは4歳と8歳の娘の母。